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成年後見制度を利用すると、本人は何も出来ない?

ご機嫌よくお過ごしですか。横田司法書士事務所の横田です。

司法書士は「後見の専門職」です。

成年後見制度について、どうぞお気軽にご相談ください。

成年後見制度を利用するかどうか、判断できない段階でのご相談も歓迎いたします。

「成年後見人が選ばれると、本人は何も出来なくなるのですか?」と質問されることがあります。

何も出来なくなるわけではありませんが、簡潔に回答できないところに、成年後見制度の難しさや繊細さがあると思います。

もしも、支援を受けるご本人の意志に沿わない財産管理・法律行為を後見人がしてしまっては、ご本人の人権を脅かすことになります。

しかし、ご本人の判断能力が不十分であるから、成年後見制度による保護を必要としているのです。

この辺りのバランスが、成年後見制度の難しさの原因ではないでしょうか。

それでは、成年後見制度の根底から、なるべくやさしくご説明しましょう。

理念

成年後見制度がどうあるべきかについて、根本的な考え方、制度を支える理念をご存知でしょうか?

後見人には「ノーマライゼーション・自己決定の尊重という理念と本人の保護の調和」が求められています。

さらに後見人には、ご本人の財産を管理するにあたって「身上配慮義務」が求められています。

ノーマライゼーション、自己決定の尊重、身上配慮義務について、補足説明いたします。

ノーマライゼーション

ノーマライゼーションは、「高齢者や障害者であっても特別扱いをしないで、今までと同じような生活をさせようとする考え方」です。

高齢者や障害者を隔離するのではなく、健常者と一緒に助け合いながら暮らしていくのが正常な社会であるという考えです。

自己決定の尊重

自己決定の尊重は「ご本人の自己決定を尊重し、現有能力(残存能力)を活用しようとする考え方」です。

身上配慮義務

ご本人の状況を把握し配慮する義務です。

いかがでしょうか?

理念ですから概念的で漠然としていて、今ひとつ分かりにくいかもしれません。

それでも財産を管理するにあたって、ご本人を最大限配慮することが感じ取れるのではないでしょうか。

法定後見における後見人の法的権限

理念の説明では、考え方が分かっても実際のところが今ひとつ不明でしょう。

ここから先は、法定後見における後見人の法的権限について、説明いたします。

ご本人が判断されたことに対して、限定された法的権限でご本人を保護します。

法定後見制度では、ご本人の判断能力によって3類型(後見・保佐・補助)が用意されています。

  • 後見:判断能力がほとんど無くなってしまった人に適用される類型
  • 保佐:判断能力が相当程度低下してしまった人 〃
  • 補助:判断能力がある程度低下してしまった人 〃

後見人は3類型(後見・保佐・補助)に応じて、「ノーマライゼーション・自己決定の尊重という理念と本人の保護の調和」という理念の元、ご本人を保護します。

  • 後見では、ご本人の財産を管理するとともに、様々な契約等を本人に代わって行い、また本人にとって不利益な契約を取り消すなどして、ご本人を保護します。
  • 保佐では、ご本人がした契約等が妥当と判断される場合には、それに同意します。また本人が、保佐人の同意なく単独で、不利益を被る可能性が高い契約等をした場合は、それを取り消します。

  • 補助では、必要に応じてご本人を支援します。

後見人には、ご本人を保護するための、なるべく小さな範囲で下記の法的権限が与えられます。

  • 代理権:本人に代わって法律行為を行う権利
  • 取消権:本人が単独で行った法律行為を無効にする権利
  • 同意権:本人が単独で行った法律行為を完全に有効にする権利

3類型(後見・保佐・補助)に対して、付与される法的権限の範囲を下表に示します。

   代理権  取消権  同意権
 後見  広範囲  広範囲  なし
 保佐

 必要に応じて(注)

 限定(注)  限定(注)
 補助  必要に応じて(注)  必要に応じて(注)  必要に応じて(注)

※注記の説明

  • 必要に応じて:必要に応じて家庭裁判所に権限付与の申立てを行う
  • 限定:民法13条1項所定の行為(下記)に限定
  1. 貸金の元本の返済を受けたり、預貯金の払戻しを受けたりすること。
  2. 金銭を借り入れたり、保証人になること。
  3. 不動産をはじめとする重要な財産について、手に入れたり、手放したりすること。
  4. 民事訴訟で原告となる訴訟行為をすること。
  5. 贈与すること、和解・仲裁合意をすること。
  6. 相続の承認・放棄をしたり、遺産分割をすること。
  7. 贈与・遺贈を拒絶したり、不利な条件がついた贈与や遺贈を受けること。
  8. 新築・改築・増築や大修繕をすること。
  9. 一定の期間を超える賃貸借契約をすること。

いかがでしょうか?

ご本人の判断能力を活用しながらも、保護するために必要最小限の法的権限を後見人に与えます。さらに必要に応じて、家裁に権限付与の申立てを行えるしくみになっています。

おわりに

司法書士は「後見の専門職」です。

成年後見制度について、どうぞお気軽にご相談ください。

成年後見制度を利用するかどうか、判断できない段階でのご相談も歓迎いたします。

横田司法書士事務所は、あなたの立場でご満足いただけるサービスを提案いたします。

お悩みを伺っただけで、費用を請求することはございません。

どうぞお気軽にご相談ください。